はじめての障害児教育・支援速修ブログ

60分速修テキストのダイジェスト&補足資料を提供します。

「困った行動」(「行動障害」)へのアプロ-チ方法

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 本当に「問題」なのか、今一度考えてからアプロ-チについて考えます。

 

 よく、いわれているように何年か経験すると「困った行動」という時、本当に困っていたのは、子ども自身だとわかることがあります。 

 

 「困った行動」(「行動障害」)に対して、私たちが実践してきたアプロ-チ方法は次のとおりです。後で具体例を紹介します。

 

  名前(   )

 障害・行動の特徴(      )

 中心課題(発達)の段階(    )

  段階によって対応は、かわります。

 アプロ-チの手順

   1.現状(結果)~どんなことをどんな時に

   2.理由(原因)~子どもの気持ちを推し量る

   3.2へのとりくみ(仮説)

   4.仮説の検証方法~軽減されているのか、悪化し   

     ているのか、かわらないのか、判断できる指標   

     をきめておく

   5.結果

 

 以下、具体例です。

 自閉の子(高等部生・男子)のスク-ルバス「非常ベルへのこだわり」落ち着くまでの全記録です。どうぞ。

 

     ある時、

    なにげなく非常ベルを押した。

    予想どおり大さわぎになった。

    また、チャンスがあれば、実行したいと思った。

    実行した。

 

 新学期が始まり、しばらくたった頃です。スク-ルバスの中での指導を担当している介助員さんが、職員室の私たちの学年を尋ねてきました。

「実はB君のことなんですけど・・・・・・何とかしてください」

 私たちの学年のB君(高等部生)が、スク-ルバスの走行中にバスの非常ベルに固執し、危険な状態が続いているというのです。介助員さんの一瞬のスキをついて鳴らしてしまうので防ぎようがないとのことでした。いきなりの大きな音で、ほかの子も騒ぎだし、車内はパニック状態。その上、B君が乗っている路線は、交通量の多い国道を走っています。大きなバスを左によせて、B君をベルから引き離し、ほかの子が落ち着くまでバスを停車させるのは、大きな事故になりかねないとの訴えでした。

「運転手さんからもきつく言われています」

 そりゃ、そうですよね。非常ベルを鳴らしたまま走行していたら、バトカ-もついてきますね。

 

 本気になってその子の気持ちになって考える、みんなでいろんな視点から考える。私たちが編み出した方法は、鉛筆を持ってとことん考えることでした。ひとり一枚のカ-ドに「なぜ、彼はそんなことをするのか」、子どもの気持ちを推測して、2~3行の文章にするのです。文章は、「ぼくは・・」からはじまるようにそこだけが印刷されています。 

    

 鉛筆を持ってB君の気持ちを推し量りながら、考え続けます。 そして、みんなのカ-ドが集まりました。次のようにB 君の「気持ち」(推測)が形になりました。もちろん、ひとりでつくりあげてもOKですよ。なんせ、「人間は、手で考える」のですから。

     

こんなことをすれば、先生に叱られる。

そんなこと、ぼくは百も承知だ。

しかし、ぼくは叱られるのがそんなに嫌いじゃない。

だから「ダメッ」っていわれることなら、ほんとのところ

なんでもいい。

したくなる。

自分のしたことで大さわぎになるのが好きだ。

 

ある時、

なにげなく非常ベルを押した。

予想どおり大さわぎになった。

また、チャンスがあれば、実行したいと思った。

実行した。

思いどおりにいった。

 

それからとういうもの、ぼくは、非常ベルが気になり出した。

バスに乗ったとたん、すぐに気になるのだ。

やめよう、やめよう、どうせ、止められる。

叱られるのがオチだとわかっていても、ついつい

手がのびる。

 

そして叱られる。

けど、バスに乗るとどうしようもなく、ぼくの気持ちは

ベルにむいてしまう。

いっそのこと、あのベルがなくなれば、ぼくの気持ちは

す~と、ラクになるのだが・・・・・・・・・

 

 「えっ、ラクになる?」「ほんまか」「案外、そうかもしれない」

 こうして、私たちの仮説が決まりました。

 いっそ、非常ベルをなくせばいいのです。でも、そんなことしたら道交法違反で運転手が逮捕されますよね。どうしたものか。議論が続きました。早く結論を出さなければなりません。停車中に追突でもされたら大変です。多くの子がケガをするかもしれないのです。

 バスの非常ベルをなくすることはできない→非常ベル除去の逆バ-ジョン→自分では外せないシ-トベルト着用はどうか→しかし、事実上の拘束はB君の人権を侵害することにならないか→いやいや、チャイルドシ-トやチャイルドロックは、人権侵害ではなく子どもの命を守るためにある→実際、立ち上がっている時、追突されたら彼自身大ケガを負う可能性がある。

「彼はいつでも外すことを要求できるわけだから」「彼が嫌がったら再検討」

 B君の障害は、「自閉症」、発達の段階は「ことば獲得・拡大期」。けっきょく、嫌だったら自分で介助員さんに伝えることができることばを持っていることが決め手となって「やってみよう」という結論になったのです。その日のうちに、「いっそ、ベルがなくなったらぼくの気持ちはラクになる」・・・を忖度した仮説は、介助員さんと運転手さんに伝えられました。

 結果、知りたいですか~。知りたいですよね。

 はい、どうぞ!

 結論からいうと、彼の「困った行動」は全面解決、すなわち非常ベルへの固執はなくなったのです。以下、介助員さんからの報告です。

1.彼は自分から二重ロックのかかったシ-トベル席につく。

2.スキを伺っているようすもない。

3.介助員さんがロックを忘れていると自分からロックをかけるように要求する。

 すなわち、B君は、非常ベルが気になる状態から解放され、これで気持ちが「す~と、楽」になったのです。

 

続きを読む

障害児にまず必要となる普通教育ってどんなん?

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 発達の段階がわかれば、もう、ご近所の保育所や幼稚園、小学校を訪問すればOKです。

 あなたが担当している子と同じ段階の子にしている保育・教育の内容を教えてもらえばいいのですから・・・。

それをヒントに授業や活動を組みたてることができます。

 えっ?行きにくい?

 そうですね。いきなり行くと卒園者、卒業生であっても、不審者とまちがわれたりしまよね。

 でも、安心してください。図書館へ行けば「何歳児のための~」という本が山ほどあります。

 

 たとえば、次のようにメモして帰れば段階ごとにどんなことをすればいいのか、誰もが受けてきた普通教育の目安ができます。定年までいろんな子を担当することになりますから、一度つくっておけば一生の財産です。

 

 

発達段階

ことば・交流活動系(国語・算数)

音楽活動系(うた・ズム・音楽など)

11ケ月ころ(乳児後半第3段階)

声、指さし・手さしでの交流活動

例)遊具交流1)

 

 

 

例)おもちゃ交流2)

歌・楽器+ふれあい交流活動

例)ふれあい遊び「ここはとうちゃん」10)「ペンギンさんの山のぼり」11)

 

例)手遊び「パンダ・うさぎ・コアラ」12)

1才半ころ(幼児第1段階)

ことばで交流する活動

例)「これはなに?」「これはだれ?」交流。好きなものがのっている文字のない絵本又は「オリジナル絵本」3)・絵本「くだもの」4)

 

 

例)読みきかせ.絵本5)「ぼくのクレヨン」「ちいさなねこ」「おにぎり」

音楽+ことばにあわせて表現する活動

例)リトミック.「走る、とまる」13)「フラフ-プ」14)   

 

 

 

例)リトミック.「ケンケン・パ」15)「くり くり くり」16)(曲にあわせて、高い、低い)

4才ころ(幼児第2段階)

 

 

 

 

 

 

世界の果てまでイメ-ジ(ことば)をひろげる活動

例)読みきかせ.絵本6)「おおきなかぶ」「ぐりとぐら」「いちご」例)「劇あそび」7)

 

   

例)読みきかせ.絵本8)「げんきなマドレ-ヌ」「すてきな三にんぐみ」「八郎」

例)数量9)「くだものをわける」

歌・楽器によるイメ-ジ世界をひろげる活動

例)「わらべうた」17)

 

 

 

 

例)楽器18)カスタネット・タンブリン・トライアングルなど)「いちわのカラス」

6、7才ころ(幼児第3段階)

           小学校1年生からの

こくごの内容               おんがくの内容

さんすうの内容

 

  真ん中を少しあけているのは、難易度に巾があるからです。表内の番号は、出典です。出典を明記しておけば、例にあげた目安の教材で、。うまくいかない時、ほかの教材を探すことができます。同じように「手・指の活動系(図工・美術・家庭・農業・木工・陶芸など)」「運動系(からだ・体育)」も目安となる活動をまとめておけば完璧です。

 さて、これで、もう、どの子を担当しても、どの教科を担当しても、何をしていいかわからない状態はなくなりました。また、こんな表があれば、今していることが子どもが今到達している段階で吸収できる内容かどうか、チエックすることも可能となります。

 

 いやいや、それはわかるけど・・・・。

「とてもじゃないが、近所の保育所・幼稚園、小学校行く時間ないわ!」

「このクソ忙しいのに図書館、何日もかけて通えるか」「出勤だけで、くたくたや、いいかげんにしろ!」

 とか、お叱りを受けますよね。

 

 なので、お役立ち情報。

 下記テキストにざっくりとした目安となる教材・活動の一覧が掲載されています。一覧は、先に5つの質問で把握した発達段階別、活動領域(教科)別になっています。

 とりあえず、明日からでもとお急ぎの方は、どうぞ。

           ↓

 どの子に何をしたらいいのか(発達&実践研究企画)

 

 時間がとれる方は、誰もが受けてきた普通教育の一覧づくりに挑戦してみてください。それこそ、一生使えるホンマもんの財産になります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

誰でもできる発達段階の把握

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(前回の続き)

 

 ところが・・です。発達検査をして何歳何ケ月という発達年令を正確に出すためには高価な器具と、一定期間の講習が必要です。しかし、私たちがすぐにでも知りたいのは、担当している子どもたちは、今どんなことを吸収する時期なのか、すなわち、その子が住んでいる世界(発達の質)なのです。教育は、子どもの発達にとって必要な時期に子どもが吸収可能なことを学べるようにする仕事です。だから、教育・支援の現場では、凹凸の大きい障害児の発達を平均化した数値である何歳何ケ月という発達年令よりも、大きく「今、子どもは、どの世界にいるのか」がわかる「発達段階」(発達の質)を把握していたほうが便利なのです。

 

 実際のところ、教育・支援活動の内容を決めていくのには、これで充分です。「どの世界に」到達しているかがわかったら、「何をしたらいいのか」「どんな活動が必要なのか」が、保護者や職場のひとたちと共有できることになるからです。(段階の特定⇒課題の設定については、後述)

 

 で、とりあえず「発達段階」なら誰でもわかる方法があるんです。器具不要、質問するだけです。

 こんな感じです。じゃん!!!

  

               

             簡易認識発達検査票

 

名前イニシャル[ ・ ] 検査日   年 月 日 (   )年生 又は(  )才

 

       質問

答え(指さした物又は発言をそのまま記入)

➊ 1.6才頃

幼児第1段階

絵本を広げ「~は、どれ?」に対して「指さし」又は「ことば」で答えることができる。

・できない

・できる-できたもの 

    (            )                                        

➋ 4才頃

幼児第2段階

(1)もしも、あなたが学校(職場・園)にでかける時に雨がふっていたらあなたはどうしますか

 

(2)もしも、あなたの家が、火事でもえているのをあなたが見つけたら、あなたはどうしますか

 

(3)もしも、あなたがどこかへ行こうとして、バスに乗り遅れたらあなたはどうしますか

 

❸ 6・7才頃

幼児第3段階

 

「こんどは数を逆さまに数えます。20から1までを逆に数えてください。たとえば、23、22、21というように数えます。」「いいですか。では、20からどうぞ」

 

9・10才頃-児童第1段階

➍ 「私がこれからどこか似ている2つの物の名前を言います。そのふたつの物がどう似ているか、私に言ってください。」 「舟と自動車はどう似ていますか」

(1)舟と自動車 (                                       )

(2)鉄と銀   (                                        )

(3)茶碗と皿  (                                       )

12・13才頃-児童第2段階

❺ 「今から、どこかにている物の名前を3ついいますから、その3つのどういうところがにているか教えてください」「蛇・牛・雀はどうにていますか」

(1)蛇・牛・雀    (                          )

(2)本・先生・新聞  (                         )

(3)ナイフ・鍵・針金 (                       )

(4)朝顔・芋・樹木  (                       )

出典:監修島津峯眞編集者代表生澤雅夫(2003)「新版K式発達検査法」~発達検査の考え方と使い方~.出版:ナカニシヤ

 

 この質問だけなら、誰でもできますよね。

 絵本で遊ぶ機会があったらきいてみてください。

「~はどれ?」 

 

 お話ができている子でしたら聞いてみてください。

 「もし、学校へ・・・・」

 

 結果をメモしておけば、どの段階かすぐわかります。全問正解する必要せありません。ひとつでも正解なら、その段階への到達とみなします。もう、同じ段階の問題ならやがて正解となるポテンシャルが存在しているからです。ひとり5分もあれば充分ですから、ゆとりの時間がとれる日があったら1日でクラス全員の段階がわかります。

 そして、段階がわかれば、近くの保育所、幼稚園、小学校へおじゃまして、「2~3歳児の保育をみせてください」とか「4・5歳児の内容を教えてください」とお願いできるのですが、今の時代やっかいなことが・・・。(続く)

 

お役立ち情報

①微妙でわかりにくケ-スがあったら、少し高いけど下記出典を購入し、「再質問」または、当該年令期の他項目も実施して判断してください。

 

新版K式発達検査法―発達検査の考え方と使い方

 

②正解例だけなら下記テキストにも掲載されています。

 

どの子に何をしたらいいのか(発達&実践研究企画)

 

③心理職・発達相談に関わっている人のための発達診断方法講座は、コチラ ↓                

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何をしていいかわからない時は?「うちのオカンに聞いたろ」

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  あなたは、もう「障害児もそうでない子も基本的に同じすじ道を通って発達する」ということを知っています。だから何をしていいかわからない時は、障害児であっても誰もが受けてきた普通の教育でOKなんです。んっ?誰もが受けてきた?それって、「ボク」も受けてきたやつか?

「よっしゃ、うちのオカンが生きてるうちにきいたろ」

 それでもいいのですが、一番確かなのは、保育所や幼稚園、小学校の先生に聞くのが一番です。で、あなたが運良く、そんなツテがあってとりあえず、ご近所の保育所や幼稚園を訪問したとします。

 そしたら聞かれるぞ。

「何歳児の活動内容が知りたいですか?」

 ええっ~!! 

 そうなんです。人間は、いくらビフテキに栄養があるからといって、乳児にビフテキは与えません。1歳児には1歳児の2歳児には2歳児の4歳児には、4歳児の保育内容があるのです。

「ど、どないしょ・・。うちのクラスの子、何歳くらいの段階やろ、皆目検討つかん。では、またっ」となってしまいます。

 

結論-障害児にまずもって必要となる誰もが受けてきた普通の教育を保障するためには、発達の質が変化する時期で区切られる「発達段階」を把握しておくほうが便利なのです。

(続く)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

仕事を続けるために必要なたったひとつのこと

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 家だって土台が歪むと家が建たなくなります。なので、やっぱり最初はこの話しになります。そう、第1ボタンのはなし。

 

 はじめて学校や福祉関係で障害児の仕事についた人たち。めちゃくちゃ不安やと思います。気持ちはわかります。しかし、ひとつだけ忘れたらあかん第1ボタンがあります。目の前の障害児は、私たちが支援する対象ですが、私と同じ時代を生きている仲間であるという、子どもについての対等・平等の見方です。どんな障害の重い子でも、どんなに奇抜な行動をする子も同じ人間という見方。この第1ボタンがズレると、色々、うまいこといかなくなって、子どもも、自分自身もだんだんしんどくなってきます。逆にこのボタンがちゃんと、とまっていたら大丈夫です。なぜなら、誰もが人として「長所もあれば、短所もある」「それがあたり前」と子どもに接することができるからです。だから、第1ボタンがしっかりしている人は、どんな子であっても、その子のいいところを見つけようと努力します。

 

 第1ボタンがちゃんととまっている人は、次の主張もすんなり理解できるはずです。

「障害児もそうでない子も基本的に同じすじ道を通って発達する」(福祉の父 糸賀一雄

 

 実際のところ、ここでいう「基本的に同じ」が、自分のものにならないと、何をするか、どんな援助が必要か考える際の最初の手がかり失うことになります。

 でも、これって今の時代、当たり前のことちゃう?

 

 ところが、そうでない時代もあって、昔は「異常児の教育」とか「異常児心理」とかいわれていたのです。

 

  そんな時代にあって、糸賀一雄は、自分の思いだけで「基本的同じ」といったのではありません。そこには、ちゃんとした障害児の発達を研究した結果、すなわち、理論的な根拠があったのです。

 えっ、どんな根拠?

 詳細は、コチラ ↓(そんなんは、いらんから早く実践に役立つ情報を、という方は、スキップして次のテ-マへ)   

 

どの子に何をしたらいいのか(発達&実践研究企画)

  

結論=もう一度繰り返します。子どものいいところをみつけけることが得意なあなたは、きっと障害児の仕事に向いていています。もし、あなたがこの仕事を続けるかどうか、ゆらいでいるようでしたら、どうか、子どもの声を聞いてください。

 

「あなたに巡りあえて、私はしあわせです。なぜなら、あなたは、私のいいところをみつけてくれる大切な人だから・・」